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食いそうで食わない?

ボララスなどの極小型な熱帯魚と赤系水草、そしてエビとドワーフザリガニとラムズのコミュニティタンク(混泳水槽)の記事になってます。 とくに、魚の病気の治療と予防、コケ防止(藻類の抑制)、赤系水草の色揚げを無理のない方法をさぐり実践中!

脱窒は普通に起きている第二回

前回の続きです。まだお読みでない方は前回のページ「脱窒は普通に起きている!?魚の病気と泥と硝酸塩の関係」へどうぞ。





ハウツーと違うけど
「脱窒のために泥を掃除しない」管理方法というものは、今日までのハウツーとは異なりますが、こちらの考え方の方が当水槽でのアンモニア、亜硝酸、硝酸塩の計測値とも合致するし、エロモナス病の出方と合致しています。

今すぐ信じられない方々のために、詳しく説明します。


脱窒しないはずのろ過装置ですが
普通のろ過装置は脱窒しないというのが、一般的な熱帯魚飼育方法での考え方です。

しかし、私の経験上変えてきた考え方では、普通に脱窒するが、掃除するとしなくなる、泥を「ある程度」温存しなければいけないというものです。


科学的根拠はある!
後で書きますが、農業や下水道などの技術的な情報をよくよく調べてみると、当記事のような考え方には、科学的根拠は「ないとは言えない」ことがわかってきました。

脱窒菌の生態からいって生物学的に否定ができないのです。あとあと再現させる方法も提示しています。


金魚飼育の伝統は
金魚の伝統的な飼育方法は、大きなたらいでの無濾過・毎日換水です。
そして金魚は非常に水質悪化に強い動物です。

その金魚にはマツカサ病のネット記事が大変多いことに留意しておいてください。


金魚の水槽を熱帯魚のように管理すると?
私が飼った餌用金魚(姉金)たちは、飼育を目的に3年ほど水槽で飼っていましたがマツカサやポップアイにはまったくなりませんでした。友に譲るまで無病息災だったのです。

管理は熱帯魚飼育と同じ、
砂利を敷いた底面フィルターのみ週一回の4分の1換水
でしたが、手がまわらず泥掃除は手を抜いていました。掃除しても砂利の面積4分の1ほどしか吸い取りませんでした。
大型魚の餌として購入しながら情が移ってしまったのですが、硝酸塩濃度を図ったこともなかったのが悔やまれます。


泥は硝酸塩であるという
記事にだまされる

その反対に、よくよく泥を目の敵に掃除してきた「熱帯産小型魚の少数飼育」では、ひと月に一匹~二匹がポップアイやマツカサのような膨らんだ体形になって弱っていき、やがて死ぬという状態が続き、掃除をがんばっても直りませんでした。

水質はアンモニア、亜硝酸無検出、しかし硝酸塩250以上という異常なものでした。

ハウツーにも掃除しすぎたらだめという情報(底砂の8分の1程度を換水時に泥掃除する程度としている)はあるのですが、硝化の機能が低下して崩壊するためだという説明となっています。当時のハウツー情報では脱窒はありえなかったのです。

そこで、病気状態を解決すべく、亜硝酸の検出しない状態をキープしながら、最大限に泥と戦ったのですが…。


泥と戦ってしまったら
病気地獄へ!

病気が出やすい状態は収まることを知らず。

一週間に一匹~月に一匹はかならず、白濁したお腹を膨らませて調子を落として死んでいきました。


幸いにも掃除しきれなかった水槽は
無事だった

大型魚の方はどうしたかというと、こちらも無病息災。レイシーのろ過装置は大きいので、病気もないし、掃除の必要を感じなく、掃除しようとしても年に一度程度しか泥掃除をしきれなかったのです。

これは濾過装置に残る「泥」というものがエロモナス菌による病気を防ぐ効果があることを表してはいないでしょうか。


泥を温存すると
病気は出なくなってくる

そして約12年間悩み続けた末、ろ過装置にはないとされる、脱窒作用という、魚への負担を減らす作用があるので、その扱いが重要だという考えに至ります。


小型魚少数飼育では細心の注意を!
特に小型魚10匹などの少数飼育だったら、1年ぐらいは掃除しちゃダメなレベルで泥を大事にしなければなりません。

数十匹以上の過密飼育をして餌やりすぎかな?ぐらいになると、金魚など中型魚を飼っているのと同程度に、8分の一ずつ底砂の掃除をしてもよいかもしれない?というバランスに考えています。

現在は金魚を飼育していないので記事の対象からは外していますが、この記事を最後までお読みになれば金魚飼育にも朗報かもしれませんね。


エロモナス属の菌と脱窒菌を知れ
病気が出やすい状態の解決のためには、エロモナス属の菌と、脱窒菌、この二つのグループの情報を知れば解決できることになります。


エロモナスは常在菌
エロモナス属の菌は、淡水に普通にいる常在菌とされています。


人にとって安全とは言えない
人にとって、誤って泥を飲んだり傷口に入ったりすると、確かに重い病気になることもあるようです。

しかし魚類は日常的に舞い上がった泥をかぶったりしなければらないので、免疫が機能していると考えられます。

90年代のハウツー本をみると、底床を掃除して泥が舞うと、泥にいるエロモナス菌がくっついて病気に罹ると書いてあったりしました。

くっついただけで病気になるというのは、かなり危ないですね。

なのに安定している水槽では、自分で泥をほじくり返していながら、全然病気にかからない魚たち。


魚にとって
常在菌なのに殺しまくられるはずもない

特別な菌ではなく常在菌なのだから、人間で言えば風邪を予防する程度のことで対応できる菌のはずなのでは。

不治の病を引き起こす常在菌などおかしいと思いませんか?

もしそんな危ない菌が普通にいたら、自然界の淡水魚はみなマツカサだらけで絶滅しているはずです。

逆に言えば、人や魚などの高等動物は、自分が住む場所にいる常在菌には負けないように進化しているから繁栄しているのだというのはお分かりですよね?

人はめったに水に入らないのでエロモナス菌に弱い面はあるでしょうが、魚は水中に弱いはずはないですね。

また、風邪というのは体力の落ちた人にとっては非常に重い症状を引き起こします。そのように体力が落ちてしまうとどんな生物でもエロモナス菌に負けてしまうことになると考えられます。

魚はさわるとぬるぬるしていますが、
ぬるぬるした粘膜というものがこれらの菌を弾くために分泌液を出しています。


水中の常在菌は全滅しない
マツカサ病やポップアイは、薬をいくら使っても予後がわるいと言われますが私の経験でもよくありません。

しかしエロモナス菌を殺せる薬をつかって水槽丸ごと薬浴しても収まることはめったにありません。

全部殺菌する作戦をしたくても、水中で摂氏20度以上という環境ならどうしようもないですね。

滅菌には、ぴかぴかに掃除してから低温と乾燥が必要なんですから。


耐性菌ができないように
薬の使用をひかえるべき
使いすぎれば、逆に常在菌に薬の耐性を付けてしまい、特効薬がなくなってしまうことになります。

だからめったに使うべきではないんです。

だからといって、逆に魚をエロモナス菌漬けにして特訓しようなどというわけではないです!安心してください!


エロモナス菌は
・調子のいい水槽にもかならずいる
・魚への感染力はかなり弱い


体力が落ちているから
こういう病気にかかる
だから薬浴しても直らない!

こまったことに、この病気にかかったということは、すでに体力が落ちきっているので薬でも治りにくいのです。

直すには体力を取り戻させなければなりません。


ポツポツ死ぬだけ
伝染して見えるのは水質が悪化しているため、すべての魚が消耗してくるために、つぎつぎ発病し、伝染したように見えただけ。


伝染病ならすぐに全滅しているはず
本当に伝染性の高いカラムナリスでは、逆に薬がよく効くし、元気な魚ばかりなのに1両日中に水槽全体に蔓延して全滅しまうこともあります。

しかしエロモナスは一か月に数匹なのでそこまで早くありません。


治療薬は
治療薬はカラムナリス、エロモナスともに同じ薬が有効とされています。

エルバージュエース、観パラD、グリーンFゴールドリキッド。黄色い薬です(観パラDは透明で、注意書きもソフト、ただ製薬会社が違うだけかも、発売元は同じ)白点病用の青い薬ではないです。

同じ発売元からいくつも出ているのは、エロモナス菌は日和見感染なので薬浴だけでは直らないという事情が、つぎつぎ違う薬を試すことに繋がるために、どれも売れるため、こうなったのでは。


どうして体力が落ちているのか
エロモナス菌はとどめを刺してるだけで、原因は体力低下にあるわけで、いくら薬を使っても、菌の住みやすい栄養の塊(弱った魚)があるからどんどん増えるばかりとなるんですね。

体力低下の原因を取り除くしかないのです。


病気の原因を消去法でつぶしてみたら
まず、水槽サイズに適合したフィルター完備ならば1ヶ月もすれば、アンモニア、亜硝酸とも検出しないレベルになりますから、放っていても一月後には解決です。

水温変動による白点病や、餌の残りと怪我による水カビなども、見てわかるので初心者でもすぐに解決していくでしょう。

pH変動も無理な換水でもしない限り稀なものでしょう。

伝染病のカラムナリスなら薬浴で直ります。

だから悪化要因は硝酸塩濃度が高くなってしまうことくらい。


水質を測ってみよう
硝酸塩試験紙の説明を見ると、淡水の生体は換水前の硝酸塩濃度が50mg/リットル以上で要換水ってことに。

100mg/リットル以上でも大丈夫なことが多いらしいけど、私の水槽では、病気がよく出る水槽だと換水後でも250mg/リットルを越えてて差がわからない程で、それ以上は500でも千でも同じ色だから…。

この硝酸塩濃度の異常な高さが、泥掃除と関連していると気づきました。


硝酸塩の毒性は弱いけど
週一換水でも間に合わない
高濃度状態になっている!

しかし硝酸塩は比較的毒性が弱いとされていますね。

それに病気に困っていれば、だれしも毎週4分の1~3分の1の換水ぐらいしているのでは。

ところが病気が出ている水槽では、それでは全然間に合わなくなってしまっているんです。


硝酸塩の毒性
一部が亜硝酸に戻る

ウィキペディアによれば硝酸塩は魚の腸内一部が亜硝酸に還元され、亜硝酸が血液のヘモグロビンから酸素運搬機能を奪ってしまいます(メトヘモグロビン血症)。

それで酸欠となり体力を消耗してしまうから、感染力の弱い菌にやられるのです。だから泥を被ろうが関係なく病気にかかってしまいます。


普通の換水なら大丈夫なのに
泥掃除もやるとダメになる

ポツポツ死、マツカサ病などが見られる水槽では高濃度になっている可能性が高いです。6in1 試験紙などで硝酸塩濃度を測ってみましょう。

で、こういうときは換水量と回数を増やすと解決するのかというと、そううまくいかないどころか、ひどくなっていく理由が。


慌てて滅菌、慌てて大掃除が怪我のもと
「エロモナス菌退治だ!」とばかり泥掃除を徹底してしまうと余計、硝酸塩濃度が上がりやすくなることが、水質を測っていればわかってきます。

私は熱帯魚飼育を開始して長らく6in1を知らなかったのです。

あと、数滴たらして測る液体タイプの硝酸塩試薬を信用しきれず、悩んでいました。やたら高濃度に出るし、手元が狂って試薬の量が狂ってしまっているだけなのではと。

そして、このときにエロモナス菌のいる「泥を舞い上げたせいだ」という情報とあいまって、掃除方法の改善で解決しようとして長い期間魚たちを苦しめてしまいました。


「菌を殺せ作戦」や「多様性作戦」は効果なし
私の場合、病気がよく出ていた時期に、グラム陰性菌を殺す薬(エロモナス菌を殺す)を規定量いれて薬浴しましたが効果なしでした。

対応に困って、底床内でエロモナス菌と競合しそうな乳酸菌や納豆菌やイースト菌を放り込んでみたこともありました。

エロモナスの勢力と競合させて減らす試みなんですが、全然効果ありませんでした

当水槽では、この方法でも病気が出続け、一度発病すると助かる魚はいなかったのです。


安定水槽では、
泥をかぶってもピチピチの魚たち

ですが安定している水槽では、掃除で多くの雑菌とともにエロモナスがいるはずの泥をかぶったところでどうということはありません

魚たちは泥の中に顔を突っ込んで微生物をあさって元気一杯だったりします。

メンテのために写真の皿をひっくり返して泥が舞ったのに1週間経っても2週間経っても誰も病気になりませんでした。


実は脱窒のあるなしが関連していた
やっとここからが本題になるのですが、「安定している水槽とは脱窒している水槽であり、泥のある環境だった」ということです。

「不安定」というのは、ろ過能力に対して、過密飼育でもなければ餌のやりすぎでもないのに、硝酸塩濃度の上昇が早すぎて換水していても十分下げられない状況。

泥掃除して通水性が高まると、外部フィルターのエーハイム2234硝化、物理ろ過とも高効率で機能するので、水は透明

透明だと綺麗になった気がしてしまいます。

なのでなかなか気が付かない。とても汚れた水だとは思えない。

でも水の臭いを嗅ぐと独特な臭いがありませんか?
それは火薬の原料にもなる硝酸の臭いかも。


普通の安定水槽は、
脱窒層をつけたわけでもないのに
脱窒しているってどういうこと?

しかし通常の飼育方法で脱窒はありえないと考える人がほとんどなのでは??私もそうでした。

ところが脱窒なしでは説明が付かないことばかり。


再現可能です。
簡単に言えば、「泥掃除のスペシャリストになってしまえば必ず失敗できる」んです。
水草が入っていても、底がソイルであっても、魚を避難させたらプロホース等で底砂をガンガンかき混ぜながら徹底的に泥を吸い出す。

要は毎週「茶色いものが出なくなる」まで掃除してしまうのです。

あとは生体が少な目(小型魚10匹などの少数の方が逆に失敗できやすい)で、フィルターには、週一回よくすすいだろ材を入れて回していることかな。

そうすれば立ち上がっていても「絶対に失敗できます」!!!

マツカサやポップアイの魚を出してしまうんです。掃除中は魚を隔離して泥がかぶらないように注意していても、病気になります

コケたでしょ。反対だったんですよ。

だから、その逆にすればいい(限度はあるけど)
泥を大事にするのが成功のカギ。
あとは生体が多めに入っていて餌を与えていて、濾過を回していることかな。


換水より脱窒のほうが影響大だった!!
徹底的な泥掃除をしてしまうと、3日ペースで換水しても間に合わないほど硝酸塩が多量にたまってしまう、当水槽の硝酸塩の実測値を平たく言うとそんな感じ。




図は全換水して硝酸塩濃度を減らしきった状態から、どうなっていくかをあらわしています。

実線は換水だけした場合の濃度で、点線は換水のときに泥やフィルターの詰まりを徹底的に吸い出した場合の硝酸塩濃度をあらわしています。

点線は、不安定な状態の水槽で、実線は安定状態と見て取れるでしょう。


泥抜きをがんばるほど点線になった
私のメイン水槽は、意図的に脱窒した例外時を除き、15年ずっと点線の状態でした。

しかし、普通は実線の状態になるとされています。近年は泥を抜かないよう心掛けていて実線のようになっています。エロモナスが出ません。

調子が悪くなるほど、「有害でエロモナスの繁殖している泥を取り除かねば!」と躍起になって掃除してしまう。エロモナスでお困りの方は心当たりありませんか?


「がんばらない」ってどうやるの?
エロモナスで困っている方は硝酸塩濃度を、「換水前にも後にも」測ってみましょう。

そして泥をぬかないように水だけ換水してみてください。週に一回上澄みを4分の1取り換えるだけという感じです。

底砂の掃除は一度に全部行わず、もし掃除するなら一度に8分の1区画だけにします。

濾過フィルターは普通の規模のものを回し、十分通水する限りはいじらないようにします。

詰まってきたらウールマットなどの物理ろ過部分は取り換えてもいいですが、生物ろ過層を動かさないようにします。

もちろん泥の溜まりすぎは完全崩壊になりますが、それは底砂を泥が埋め尽くしたり、フィルターが通水しなくなってしまう(上部フィルターなら水があふれてしまう)ほど詰まった時で、神経質にならない方がいいのです。


水が不健康になっちゃうしくみ
フィルターや底砂の泥掃除をするとエロモナス病が出るのは、撒き散らした菌を魚が被ったからではなく、普通に起きている脱窒を阻害したから。

そのしくみは、しっかり泥を吸い出したために、底床深くまで水の通りがよくなり、酸素が供給されて脱窒作用が止まってしまう。

すると換水が間に合わなくなり、濃度が高まった硝酸塩の害が出て、魚の体力が落ちる、日和見感染によりマツカサやポップアイ、ポツポツ死になるという考えの方が、実測値に近い動きに見えるのです。

週一換水で安定するのは脱窒のおかげ
逆にエロモナスにかからない安定水槽は、脱窒できているから硝酸塩濃度が低いし、泥を被っても病気にならない。

たとえ週1ペースで換水しての安定であっても、それは脱窒のおかげなのではないか、という数値の動きを私は観測したのです。


脱窒とは?
水槽内に溜まっていく硝酸塩を、脱窒菌が窒素ガスに分解して飼育水から逃がす作用のことです。
 
この効果は「換水よりはるかに強力」と現在では思っています。

換水は一時的効果でしかなく、脱窒は永続的に効果があり、しかも強力。

この脱窒作用を起こす菌を脱窒菌といいます。

嫌気(けんき)とは水中の溶存酸素が少ない状態、好気(こうき)とは酸素が多い状態。


脱窒は条件が難しいのでは??という誤解
脱窒菌は、酸素があるほうが調子いいけど、酸素が無くてもまあやっていける、という通性嫌気性バクテリアの一種で、酸素が無い環境になってくると、なんと硝酸塩を呼吸に使うようになる奴らです。

おかげで最終的に窒素ガスにして水槽外へ排出してくれます。

しかし脱窒するにはおもに3つのハードルがあり、熱帯魚のハウツー本を読むと基本的に水槽内では脱窒はできないものと考えられていたようです。

1・菌はいるのか
2・酸欠が必要
3・炭素源になる物資が必要

この3つは、1990年代当時わかっていた脱窒菌の性質から必須条件に挙げられていたもの。

そこで「嫌気層を設けて、アルコールなどの炭素源を常に添加してなければ、脱窒が起こるはずは無い」と考えるのが普通でした。

しかし2014年現在、嫌気層は効果的ではないと実感しています。嫌気層と炭素源の添加なしに3つの条件は満たせているのだという意味です。

あとで書きますが、私のやり方だと逆に嫌気層だとうまくいかなかったりもしました。


1・菌はいるのか
まずこいつらは水槽にいるんでしょうかと。

しかし硝化バクテリアだって2週間空回ししただけで湧いてきます。下手なバクテリア剤は逆効果。

これは脱窒菌にも当てはまるのでは。
菌の分裂速度は、亜硝酸を硝酸塩に変えるバクテリアより速いといわれています(デニボールの野辺商会の説明書による)
温度は独立行政法人産業技術総合研究所のページによると25度から30度が適温で、低温になると菌の活性が下がるとの情報も。ただ、低温になるほど魚に与える餌も減らすのが普通なのであまり気にすることはなさそうですね。


 普通にいたよ厄介者として
調べてみたら実は、農業関係では、脱窒菌はやっかい者として知られていました。
脱窒菌は普通に土壌にいて、施した肥料(硝酸態窒素)を空気にしてしまう(痩せてしまう)んです。
出典:https://kotobank.jp/word/脱窒-93600

しかし農地の地下に溜まっている地下水を「肥料が汚染するのを防ぐ」という重要な役割もはたしているようです。

この方面での知識としては、嫌気的なところにいることになっています。※これには注意が必要です。

一方、下水処理(環境工学)の分野では、脱窒のために行う工程がしっかり用意されています。
つまり硝酸塩を残したまま海に排水することはないんです。
しかし脱窒菌をわざわざ投入するとはどこにも書いてありません。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/脱窒

脱窒菌も常在菌ってことですね。


2・酸欠が必要
酸素を必要とする生体と硝化バクテリアたちに酸素を供給しながら、水槽内のどこかに意図的に酸欠を引き起こすのは難しそうですよね。


 あらかじめ嫌気層を設置すると
 うまくいかない

酸欠を引き起こすには嫌気な場所をつくればいいのでは、ってことで、嫌気層を設けるというアイディアがずいぶん前からありました。

うちでも外部フィルターを2個直結させて、1つ目で硝化バクテリアに酸素を消費させ、2つ目のフィルターが酸欠になるのを利用してみましたが、安定して脱窒するどころか水面からアンモニア臭が出てしまいました(炭素源として砂糖水も入れていた)。


 嫌気層と還元の危険性
同じ通性嫌気性菌でも、脱窒菌以外の他の菌種は酸欠になると亜硝酸やアンモニアに還元してしまうそうです。
アクアリウムの常識的にも、このような還元が起きるので、止水とか嫌気というものが危険視されます。

私も当時は恐る恐る嫌気層を作り、芳しくない測定結果に落胆しました。やはり嫌気層は危険なものだと思って取り外しました。

脱窒菌の生態をよく把握せず、別の菌が台頭しやすい環境を作ってしまっただけでした。

脱窒菌は、硝酸塩呼吸よりも酸素呼吸の方が効率がいい、ということは嫌気環境ではあんまり増えないと考えられます。そのかわり大腸菌などが増えて効果が出せないことがあるのかも。

底砂を厚くしすぎたり、水の通りが悪い部分というのは、同じ結果をおこしかねませんね。

しかし脱窒菌は酸素が十分あるときは酸素呼吸をするので脱窒しません。これが脱窒は不可能とされるところですが…

 嫌気層がないから
 脱窒しないとは限らない

ではどういうときに脱窒するかというと、下水処理の分野では下のようなことが分かっているようです。

微生物同士の酸素の奪い合いがある環境だと、脱窒菌は進んで硝酸塩呼吸に切り替えて脱窒する}

WIKIPEDIAの脱窒ページから引用すると脱窒菌は多様な菌種と共存しているため、溶存酸素濃度がかなり高くても(ある研究では6.0mg/l)生物相内の濃度勾配により脱窒が生じる事が確認とあります。

 酸素のある環境を好む菌だった
ややこしい話、脱窒菌は酸素が好きな生物だったのです。

通性嫌気性細菌といって、酸素がなくなっても死なないけど、酸素があると死滅する菌ではない。

むしろ、酸素がないとなかなか増えないみたいですね。

酸素の豊富な場所で、他の微生物と一緒に増えてきて、しだいに過密になって、酸素が足りななってくると、硝酸塩呼吸に切り替えて、その結果脱窒する。

それを人間から見ると、茶色い泥が溜まってきてるだけにしか見えない。と、このように考えたらいいのではないでしょうか。

 キーワードは「生物相内の濃度勾配」
 酸素を使う微生物の塊≒泥
 あぶれた個体が脱窒でしのぐ

フィルターを止めたら水草から出る気泡が目に見えて増えるほど、硝化バクテリアは酸素を消費します。

脱窒菌と硝化バクテリアその他大勢がごちゃ混ぜになったものが「泥」だとすれば?

泥はまざまな機能を持つ菌種の塊。

嫌気層という人工環境と違い、泥という自然な環境で、脱窒菌と硝化菌はともに増え、我先に酸素呼吸をしている、だからあぶれて酸欠になる菌がいてもおかしくないのでしょう。

たまたま脱窒菌は酸欠をしのぐ方法をもっていて、しのいでいるときは脱窒している。

脱窒するにはある程度の泥の堆積が必要。そう考えたら自然ですね。


3・炭素源を与える必要
硝酸呼吸をするときに炭素を使うらしいので炭素源となる物を脱窒菌に与えなければならないといわれています。

アクアリウムのネット記事を検索すると砂糖、アルコール、生分解性プラスチックの添加、変わったところでは落ち葉を入れることで、水槽内での脱窒を確認したり、白いもやっとした微生物コロニーが出来たり白濁したりといった記事が見られました。

下水処理の技術として脱窒を行う場合は、WIKIPEDIAの脱窒ページによると、必要に応じ、有機物としてメタノールを補給とあります。

炭素源を入れないと脱窒しないといわれています。だから特別な炭素源が販売されていたりもしますし、私も炭素源として砂糖を入れたりしていました。

 有機物が使えてしまう!
しかし材料にこだわらなくとも上記ページによると、メタノールに替えて廃水中の有機物BOD成分)の利用が広く行われ とあるのです。

生分解性プラスチック(微生物に分解される樹脂)が使えるのもアクアでは良く知られていますね。

こうなると使えない炭素は二酸化炭素などの空気と、木などの分解不能な樹脂ぐらいのものなのでは。


 実は魚の餌も炭素源が入っている
つまり、アルコールは必須条件ではなく、炭素という普遍的な元素が入った食物や落ち葉などなど、いや普通に熱帯魚の餌も脱窒に利用するのだから、基本的には新たに炭素源を入れなくても、脱窒がおきていても全然おかしくないのです。

 人工飼料のC/N比
人工飼料のつなぎに小麦粉がよく使われているのは有名ですね。小麦粉の成分は炭水化物といって炭素と水素の化合物です。さらに「食物繊維」も炭水化物、生分解性プラスチックも炭水化物に近い樹脂なのではと思われます。

木綿糸で水草を活着するまで括り付けておくと、糸だけ分解されているのもご存じの方が多いでしょう。これも繊維ですね。食物ではないけど分解する菌は水槽内にいる、糸ですらも炭素源になりえるというわけです。

ただちょっと脱線しますが、小麦粉を消化できる魚類は少ないそうで、どじょう養殖研究所の餌の場合、消化の負担を考えて小麦粉を使っていないということなので愛用しています。

これを食べさせていると白い糞をぶら下げることがなくなり、魚の状態がいいのですが、もしも炭素が入っていなかったら脱窒が止まってしまい、大変なことになりそうです。

しかし成分はどじょう養殖研究所の水源Bでたんぱく質が44%以上で、これも炭素(C)と窒素(N)が入っています。

このように各人工飼料のメーカーは餌に含まれる炭素と窒素の割合(C/N比)を調整したりして水が白濁したりしないように苦心してるわけですが、このことから、C炭素は餌に入っていることがわかりますね。

というわけで、3つのハードル(脱窒菌がいる、嫌気、炭素源)は水槽内では、「泥」という自然っぽい物体により、とうに超えていたのです。

 効果ありすぎ!
 泥を温存する換水方法に変更

2014年嫌気層が逆結果になってしまったので外した後、換水はするけど底砂の汚れをやたらに掃除しない方針に変更しました。

当時は脱窒に必要だと思っていた砂糖を小さじ半分添加して数日後、硝酸塩濃度を測ったら大幅に下がっていました (テトラテスト6in1で一分後に比色)。しかもこれ一回で1~2ヶ月もちました

水130リットルに対してたったこれだけ!

去年250ppmを振り切る高濃度だった硝酸塩が50以下になってしまいました。


カエルさんも逆立ちしてワンと言いそうなほど拍子抜け!

苦節15年。言葉もないです。


 砂糖のおかげと誤認
しばらくは、炭素源としての砂糖を入れたから脱窒が始まったものと思っていましたが、現在では、様子を見るために掃除をやめていたことが、脱窒につながったと理解しています。

長らく、当記事に誤認している部分をそのまま掲示していたことをお詫びし、訂正します。

砂糖を入れたことより掃除をやめたことが大きいと考えます。

ブラウザが重く、文字数制限とHTMLコードの異常な拡張などの不具合があって長大な文章をうまく差し替えることが、長い期間できませんでした。原因は使用ブラウザとの相性でした。


 しかし不注意で掃除が必要に
以後、砂糖少量添加と泥を掃除しない換水方法に変えて安定していたのですが、不注意を2つやらかしてしまいました。

ショップでカラムナリス菌に感染した個体を購入して伝染してしまい、塩を水槽に入れて水草を溶かしたり、ミロネクトンの塊を鎮座させて藻類だらけにしたりと、めちゃくちゃな崩壊ぶりを引き起こしました。

上、下ともカラムナリス菌が感染したと思われる魚(アフリカンランプアイ、GHDグーラミィ)



塩を入れた後日の写真。

しかし塩はカラムナリス病の伝染には効果がみられませんでした。
逆に、塩を入れなくても薬に効果があったのです。
くわしくは、こちらのページへ。


ミロネクトンの塊を入れたら藻類が大増殖。新芽まで覆う猛威をみせました。

取り出した後日、新芽が普通に生えてきました。

もう一度水草を綺麗に育てるには、塩分とミロネクトンの溶け込みすぎた底砂の掃除が必要になってしまいました。

ここで残念ながら温存してきた底砂とフィルターにたまった泥を掃除する羽目となったのですが、以後また硝酸塩濃度が高まりやすくなってしまいました。

 砂糖を入れただけじゃだめだった
で挽回のために砂糖(炭素源)を入れてみるのですが、水の匂いがおかしくなるばかりで硝酸塩濃度がいっこうに下がらないということがありました。

これは「泥がなければ炭素源があっても脱窒効果は得られない」という結果でしょう。

そういう時は換水ペースを上げて見守るしかないです。

泥の必要性を感じたので換水のおりに少しずつ区画を決めて掃除していき、藻類でまくりの状態を解決しました。




ようやく泥掃除作戦を終了して泥温存作戦に変更できました。


 わかっていても
 小型魚少数だけだと
 泥はなかなか溜まってこない!
しかし短期間には硝酸塩濃度が低い安定環境に戻すことはできませんでした。

泥が十分溜まってくるまでは、砂糖を入れても白濁や匂いが出るだけだったのです。3か月ほどは
様子を見ながら換水ペースを3日に一回、1日に一回と、短くとって病気のリスクを下げるしかなかったのです。

砂糖少量添加は、生物膜ができて脱窒環境が整うのを加速する可能性もありそうですが、匂いが出ることもある(変な菌が湧くということ)ので、水質悪化のリスクをともなうもののようです。

どちらかと言えば砂糖は入れずに、餌を多めに入れてシュリンプやスネールの爆殖を誘い、フンなどを増やして泥の堆積を加速する方が問題が少なそうです。



脱窒は普通におきる
1菌はいるのか
 脱窒菌は、立ち上げた水槽に普通に発生する
 泥が溜まってくるまでは脱窒しないので水槽立ち上げから1~2か月待つ

2酸欠にさせなくてはならないのか
 エアレなどをしていても大丈夫
 泥やバクテリアのコロニーなどで濃度勾配ができるから、硝酸呼吸は行われれる
 泥掃除のリスクを理解すればOK(泥が埋め尽くすのだけはダメ)。

3炭素源を添加する必要はないのか
 餌に炭素も入っているのでOK

以上3つの条件すべてを「普通に管理してれば」満たすことができそうだと思いますよね?


餌を控えても水質浄化につながらない?
硝酸塩過多でエロモナス関連の病気が出ている水槽では餌を控えるのは効果的とはいえないでしょう。

魚やエビなどの生体は呼吸することでアンモニアを排泄します。絶食しても死ぬまで呼吸するのですから。

逆に生体の体調が悪化してエロモナス菌の日和見感染を加速させてしまい、病状が回復しにくくなるのでは。

脱窒菌の方も、餌に含まれる炭素を絶たれてますます脱窒しなくなり硝酸塩がまた増える悪循環になりかねません。


脱窒のために
換水をやめる必要はない

泥掃除さえやめれば脱窒量が増えていくので、上澄み液の換水は可能です。

脱窒量が十分になってくるまでは、換水で硝酸塩濃度を調整していけばいいのです。

しかし、飼育水が白濁するほど大量に換水するのは絶対にまずいです。

白濁は、バクテリア死滅のサインだから、脱窒も硝化も弱まったと言っていいのです。飼育水を3分の1以上一度に換水しないのが普通です。

それ以上の量を一度で換水するのは、白濁させない技術がある場合だけにしましょう。(カルキ抜きをする、水温を合わせた水を注水するなど)


なーんだ簡単じゃん
泥が程々に溜まってればいいんだから!

簡単に言ってくれますね
時が必要ですな
反省。

病気と泥掃除の加減まとめ

というわけで泥を適度に貯めるのは病気を予防するためなのです。

泥があると硝酸塩濃度が急激にあがらなくなるから、硝酸塩の毒性で魚が体力を落とすことが無くなり、エロモナス菌の日和見感染がおこらなくなる。

逆に、泥が無くなってしまうと、硝酸塩が急速にたまってしまうから魚の体力が奪われ日和見感染してしまう。

そして底砂が埋まるほどの泥が溜まるとヘドロが出来て水質悪化します。濾過細菌の住処が、完全な酸欠により、嫌気性である大腸菌などが発生して硝酸塩をアンモニアに還元、その他の細菌が硫化物を作ったりして、最後は中毒のようになって全滅してしまうわけです。



このページを熟読していただければ、皆さんも、もうマツカサ病やポップアイの魚たちを看病して悲しい思いをしなくてすむことでしょう。

次回は、下のようなキーワードで脱窒ありきでのケースバイケースな話をしますので是非ご覧ください。

次回のキーワード
・自然界はどうしてる?
・エアレーションと脱窒
・肥料で失敗
・外部フィルターと上部フィルター
・ソイルと砂利

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