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食いそうで食わない?

ボララスなどの極小型な熱帯魚と赤系水草、そしてエビとドワーフザリガニとラムズのコミュニティタンク(混泳水槽)の記事になってます。 とくに、魚の病気の治療と予防、コケ防止(藻類の抑制)、赤系水草の色揚げを無理のない方法をさぐり実践中!

メタハラは水草水槽向き?【スポットもあるよ】

明るい印象のあるアクアリウム用のメタルハライドランプ。水草水槽向けの蛍光灯の上位版のようにうたわれたこともありましたが、実際はどうなのか。
そしてスポット型のメタハラとLEDスポットライトはどっちが優秀なのか。
手に入った情報をもとに、私のメタハラとLEDの使用経験と照らし合わせて比較してみました。2018.09.06追記

メタハラはロマンだ!
なにしろスペクトルや照らし方が自然光にとても近いのです。
 
気化した金属化合物のアーク放電の光で自然なスペクトルを実現、まさに技術の賜物です。

メタハラのスペクトル

スペクトルは高バランス!演色性もいいとされてますね。

線が下の方を通っていて貧弱な印象かもしれませんが、一番高い所を100%とした場合の比率だから、突出した青のせいで相対的に低く表示されてるだけで、絶対量はどの程度かまではわかりません。

ほとんどの波長が欠損せずに横一線に同じ高さになっているのが高演色の白色光の証です。

どんな色の物も自然に見えるのが高演色。逆に、鮮やかなランプは極端な山と谷があるものとなります。


メタハラは欠点がない高演色なランプで、逆にLEDと蛍光灯は演色性に欠点があるけど特定の色が鮮やかに出るランプというわけ。(蛍光灯は緑と赤が鮮やかで、LEDは黄色と青が鮮やか)

LEDでも蛍光灯でも別の種類のライトから交換すると見た目の印象に発色の落差がおこり「え」ますのでご注意。

どれが最高ということではありませんが、好みが出るところです。

自然で立体的な点光源
メタルハライドランプは総じて点光源なので、蛍光灯では再現できない輝度があります。

つまり魚が輝いて陰もはっきり出るんです。

なので水槽内が蛍光灯や薄型LEDよりも立体的に見えます。

蛍光灯に慣れ親しんでいる方だと違和感がある方もいるかもしれませんが、太陽光に近いのはメタハラの方です。

メタハラは水草に適している?
水草が光合成に使用する波長は下図のように諸説ありますがだいたい可視光全域。


育てるために上図の割合で照らす必要があるのではなく、各波長域の光合成利用率の高さを表すグラフです。

大雑把に言えば660nm付近の赤い色がとくに効率がよく、次いで450nm付近の青が効率が良いと言われています。とくに660nm以上の赤色波長は蛍光灯や白色LEDだとかなり落ち込みますが、
メタハラはこの辺りも急に落ち込まずにしっかり出ています。

水深の浅い規格水槽ならばLEDでも蛍光灯でも育つことからも、よりバランスのよいメタハラのスペクトルに難があるとは考えられませんね。



実際は大電力でないと育たない
しかし私の水槽は、水深が50cm近くあり、70Wクラスを使った限りでは、ぎりぎりまでリフトアップ高を下げても水草の間延びを防げませんでした。


育たなかった私の水槽環境
私の水槽では、50cm弱という水深のせいで、メタハラ70Wだけではなく、蛍光灯カラーライト2個(20W管4灯80W)でも綺麗に育った試しがありません。

薄型LEDを30W分入れたときも同じようなもので、細いからスペースが空くので蛍光灯やらメタハラを隙間に併設してみても、やっぱり泣かず飛ばず。

メタハラ蛍光灯LEDのコラボでもアウト。

そのうち面倒になり、メンテの邪魔になるメタハラと蛍光灯をどかして薄型LEDだけにしてしまったら、これまた大して育ちが変わらない。ってことは薄型LEDの方がちょっとましなのかな?……という微妙な違いはありましたが(LEDはチップ内にリフレクタ内蔵、とくにルシファパワーは灯具の光学性能も高い)。

たったの30Wで合計110Wぐらいの蛍光灯+メタハラと大して変わらないというのもすごいけど。

下葉が落ちて水面付近の葉だけが巨大化できる謎
メタハラを使ったときの特徴を言うと以下のような感じ。

植え込んだ水草は下葉が落ちて、茎だけが太くなって間延び。

茎が水面付近に伸びてくると大きく健康的な葉を出し始める。

そして水面付近から沈み込んで縦巻きになって、放置するとぐるぐる巻きに。

やがてぐるぐる巻きのどこかから花を咲かせます。

どうしてこうなっちゃうのでしょうか。

「メタハラは光が強い」は間違い
光が強過ぎるから草が負ける、なんていまだに言われてますが、これは間違い。

もしそうなら、水面付近に来ると本気出すどころかどんどん弱ってくるはず。しかし現実は逆。

赤系水草なら水面付近だけが元気に赤くなるのでわかりやすいです。

全光束は大きいのに?
確かにメタハラはだいたい70W以上からなので全光束が大きい製品ばかりだし、点光源なので、照度計をライトに近づけて測ると何万ルクスにもなります。

70Wクラスのメタハラは全光束が4000ルーメン前後(20W蛍光管4本分ぐらい)あります。

だから、これだけの規模なら強いと誤解するのもわかりますが、メタハラ製品特有の問題として、リフトアップが前提になっているのと、レンズがないところがネックなのです。
自動車のヘッドライトだってレンズがあって始めて遠くが見えるのですから。

拡散する光子
光子を求める水草

レンズがないせいで、光子が拡散して、距離減衰が大きくなっている、だからライトからかなり近い場所じゃないと育たないのです。

少なくとも同等な全光束の蛍光灯と同じ距離までしか育成できないわけ。それ以上離れた距離の草は元気がないってことです。

植物は光子を使って光合成しており、光子の密度が減ってしまうと光合成量も少なくなってしまうのです。

蛍光灯もリフトすれば間延び
蛍光灯も夏場にリフトアップすると草が間延びするでしょう。

20W管4~5本分の全光束では60cm規格水槽に直置きでどうにかなるかならないか程度なので、メタハラもそれと同じ距離に下げてあげなきゃ。

太陽光は地上で測っても約10万ルクスもの明るさがありますが、5000ルーメンのビーム角120度のライトは 計算機をお借りすると、30㎝下を17683.89ルクスでしか照らせないようです。
70cm下だと3248.06ルクスにしかなりません。これでも難易度の低い水草は育つといわれる明るさですが、これは効率の高いビームが作れた場合で、レンズや鏡の品質が悪ければもっと落ちるのだから、私の水槽のメタハラのようにリフレクターが最適とは言えない代物ならもっと低かったはず。だから写真のようになってしまったのでしょう。

太陽光より強くないのだから、光が強すぎて弱るわけがないのです。

ではレンズ抜きでどのぐらいのワット数から赤系水草をしっかり育てられるのかというと、ネット記事を検索してきれいに育っている記事を見る限り、なんと300W使っています(150W×2発)。


ただハイタイプ水槽のスペース的にメタハラなら300Wをつけれるのだから、こういう150Wメタハラなら育成可能であるといえるでしょう。



海水用からはじまったアクア用メタルハライドランプの風評
以前メタハラは蛍光灯の上位機種ともうたわれていました。
ただ、高温に弱い生物が多い海水用のライトを転用しているので、最初からリフトアップ可能な設計なのが仇になってしまい、全光束は大きいのにリフトアップして距離があるので水底の照度が蛍光灯より落ちてしまいやすい。

だから「蛍光灯の方がメタハラより水草育成に向いている」という風評も。

水草水槽のライトとしてはリフトアップできるのは大変ありがたい機能です。メンテのときにどかす必要がないし、メンテ中も照らせるから細かい作業もしやすいです。

蛍光灯だとリフトパーツごと外す必要があって、水の中に落としたりして大変面倒ですから。

面光源と下葉の関係にも限度が
蛍光灯の利点としてよく言われる面光源だから下葉が落ちないというのも限度があります。

水草もさもさで葉の密度が高いときは、面光源からの木漏れ日は届きにくくなり、むしろ普通に葉を透過した光の量(照度)の方が重要になります。

葉は完全な不透明ではないので光を通すので、点光源が下葉を必ず落とすわけではありません。

蛍光灯や薄型LEDも水深に弱い
たとえ蛍光灯でも、リフトアップしたり水深が深い水槽だと水草が間延びしてしまうので、照度が低かったら面光源でもどうしようもないのがわかります。

自分好みでへんてこなスペクトルのスポットLEDをつかってみたら水草が育ってしまった経験からも、面光源だのスペクトルだのにこだわらず、照度さえ高めればどうとでもなります。

だからライトの種類はあんまり関係ないのです。
しいて言えばレンズ付きにするか消費電力を増大させるか。

水深とリフトアップのせいで育たないけど、
リフトしないと水草が溶ける

・水草は高水温に弱い
・ライトから水草までの距離に比例して照度が減る
・照度とは飛んでくる光子の個数みたいなもの
・リフトしても十分な明るさがほしい
・全光束を増やすと発熱も増える
・リフト高と全光束のバランスを探ることに

全光束大きい=発熱大きい
全光束が高いほどランプが熱くなるのはどんなライトも同じです。

なんとも意外なことに、LEDメタハラ蛍光灯とも、発光効率は50lm/W~100lm/wと五十歩百歩で、消費された電気は、光になった分とそれ以外のロスあわせて、最後にはすべて熱になります

種別 全光束 消費電力 発光効率
岩崎セラルクス70W 約5000lm 92W 約54lm/W
東芝メロウZ 20W形蛍光管 1450lm 18W電源含まず 80lm/W
コトブキフラットLED 825lm 14W 58lm/W
※蛍光管だけ安定器のロスが計算外なので実際には表より落ちるはずです。ワットチェッカーで2灯形36Wのはずが47Wとか49Wの情報あります。47Wなら61lm/W、49Wなら59lm/W。フラットLEDはかなり前の機種で現在の後継機レイマックスは発光効率約78.3W。明るさよりは調光性能重視の機種です。
※訂正セラルクス70Wは約7000lmではなく約5000lmでした。
※全光束が高いから照度も高いとは限りません。光学性能によります。


全光束と消費電力から逆算して表にしてみましたが、やはり発光効率は50歩100歩ですね。LEDはもっと高いのもありますがその差は倍も開きません。

強いライトは熱いからリフトアップしなければならないが、距離に比例して照度が落ちるので、水槽が深かったり高い位置にリフトすると、逆に低照度になってしまいます。

水草を育てるには「全光束と、水深+リフトアップ距離のバランス」が大事なのでしょう。

レンズがあるスポットLEDは数十ワットで深くても
間延びしない

上はレンズのあるLED、海水用や電球色などのスポットLEDによるトリミング直後の成長状態です。

下から撮影しているので上の方に新葉が写っていますが、水面からまだ20cmぐらい開いてます。


いままでに色を調節するために何灯かとっかえひっかえしているけど、使ってもせいぜい合計60W程度で、300Wも使っているわけではないです。

メタハラや蛍光灯などを使っていたときと違って、茎をだらだら伸ばす前に新葉を展開して落ち着いた成長をします。トリミングは1ヶ月~2ヶ月に一度。

ライトの種類では照度は大差ないが
レンズの有無では照度が何倍も違う
(電力比)
スペクトルが育成に適しているとは言えない構成のスポットLEDを使ったら、たったの数十ワットで水草を育成できるのに対して、よりバランスいいスペクトルのメタハラなどはなぜ300Wもかかるのか。

もうレンズやリフレクタ(鏡)などの光学的な性能差ぐらいしか考えられないでしょう。


2灯式蛍光灯とほぼ同等の全光束(2884lm)のLEDの照度
(こちらのシミュレータをお借りして算出)
ビーム角   50度 ビーム角   120度
30cm下で46912lx 30cm下で3400lx
50cm下で16888lx 50cm下で1224lx
上の表のように、同じLED同士でも、50度のスポットと比べて、角度が普通のライトに近いビーム角120度だと照度がずいぶん落ちます。



180度以上のライト、つまりレンズやリフレクタのないライトもしくは、これらの品質・精度の悪いライトは照度が極端に低くなることが想像できます。

ですからレンズとリフレクタの品質も問われます(照度分布がムラになると育ちに影響)。

しかしLEDはリフレクタを最初からチップ内に内蔵しているうえに、レンズは小さくて非ガラス製、高精度なガラス加工技術が必要ないらしく、光を満遍なく配光できる割には、メタハラ等の高品質スポットライトよりも圧倒的に安価です。

スポットLEDは明るいけど発色調整のために多灯したい
写真の時の構成は3つとも海水用UVレッドブルー+電球色のスポット。同じ条件のものです。色が違って見えるのはカメラの設定が違っているだけです。

育ちに関しては片面20W一灯、左右で2灯でも足りるのかもしれません?が、発色が薄かったりするので色を調節したくなり多灯化。

スポットLEDにする前は、茎を伸ばして水面に達してから本気出す感じで、せっかくの深さが無駄になっていました。

レンズのあるメタハラ
メタハラもやはりレンズ付きが水草育成ライトの本命のはず。

追記:2018年現在のレンズ付きメタハラ
しかし残念なことに、ビームタイプのメタハラは淘汰されてしまったのかレンズ付きは爬虫類用の一種類ぐらいしか見つけられませんでした。

あとの機種は本体の販売が見られなく、交換球が出ているだけみたいです。

ゼンスイ ソーラーラプター HIDランプ
50W安定器+50Wランプ+クランプランプ
70W安定器+70Wランプ+クランプランプ

ドイツ製。色温度5000Kだから電球色よりはずっと昼の太陽に近い昼白色。爬虫類の甲羅干し用だから紫外線をかなり出す設計になっていて、(爬虫類が)「一目瞭然の美しさ」と説明にあります。Ra評価不明ですが、彼らは緑色の体色だったりもするので水草も結構きれいかも?

ビーム角は表示なしですが、レンズがあるので120度よりはずっと狭いようです。

爬虫類の体温維持のため、熱や赤外線もかなり出すから設置高さに注意。

カミハタ ネオ アーチ900や、消えてしまった名機スライドアーチ 6090などのライトスタンドを水槽上部に設置してクリップするライトです。



スポット形のLEDとメタハラの比較
改めてハイタイプ水槽で水草を育てる場合の選択枝を考えたとき、メタハラは影がくっきりでる(発光体の直径が小さい)、もっとも自然さを演出しやすいと言えます。しかし力強く植物を育てられるレンズありのものは先行きが怪しくなってきてます。

かたやLEDは薄型LEDはやっぱり影が薄くなりやすく、ビームランプならわりとくっきり自然、中華スポットと言われるタイプはやや影が薄くなるし、よく壊れるのが残念なところですがメタハラの交換球と同程度のコスパともいえるし、なにより種類が豊富で、これからもLEDは演色性アップや発光効率アップをテコにして発展していく、というところでしょうか。

以上です。
LEDのページと合わせて活用していただいて、挫折が多い水草育成の敷居を下げていければと願っています。





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